ベルダー／バッハ:平均律クラヴィーア曲集(全巻) 4CD

J.S.バッハ　　4枚組
平均律クラヴィーア曲集全曲 BWV.846-893

ピーター＝ヤン・ベルダー（チェンバロ）
録音：2008年3月,4月（第1巻）、6月,9月（第2巻）

チェンバロによる平均律全曲として、稀に見るクリーンな演奏です。まずこれほどにチェンバロを美しく奏でられる奏者は、世界でも数人しかいないでしょう。全ての音が濁り無くくっきりと顕れ、しかも常に羽のように軽やかな感触を失いません。演奏は一聴して客観的でストレートなようですが、じっくり聴くと楽想に合わせて細かにテンポを変え、リズムを揺らし、また控えめな装飾を随所にちりばめる様が、何とも言えず味わい深い。ベルダーが、テレマン、コレッリ、パーセルなど、バッハと同時代の作曲家の驚異的な全集を作り上げてきた成果が、この平均律全曲に確実に反映されていて、それらの数々の音楽がこの演奏の背後に透けて見えます。特に第１巻の典雅さと新鮮さ、正当さは、古今のチェンバロによる平均律の中でもトップに属すると思います。平均律の名盤は、チェンバロではレオンハルト、コープマン、アスペレン、スコット・ロス、ピアノではグールド、リヒテル、グルダ、ニコラーエワ、アシュケナージなど多数ありますが、このベルダー盤も充分一級品であることは間違いありません。第１巻の最後のフーガの気品と詩情溢れる演奏はこの盤の白眉です。チェンバロ奏者としてのベルダーの、現時点における集大成ではないでしょうか。

ベルダーはオランダ出身で、レオンハルト門下のアスぺレンに師事していたということなので、レオンハルトの孫弟子ということになるでしょうか。古楽器研究の成果を踏まえた演奏スタイルの”第2世代”　にあたり、比較的自由に演奏している部分もあります。ベルダーの演奏は繊細で柔らかい感じ、決して強引なタイプではなさそうです。言ってみれば”癒し系”のチェンバリストといった感じです。ピアニストでいえば、アンドラ―シュ・シフに似た感じがあるかも知れません。平均律をチェンバロの音で聴いて癒されたい方にはドンピシャの名盤です。

輸入盤【廃盤】盤面傷無し
まずまずの美品です

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